ホーム>天使のためいき ぶどうの涙

天使のためいき ぶどうの涙

ゆきのまち通信(2015年7月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

パナマ帽の粋

夏は来ぬ

201761723212.JPG

祖父の洋服箪笥の上には

まあるい箱がいくつもあった

季節ごとに その箱からは

いろんな帽子が取り出され

祖父のお出かけのお伴となった

初夏の日差しの中を

パナマ帽で歩いて行く祖父の後ろ姿

その横には絽の和服に

ラベンダー色のパナマ草履の祖母

白いレースのパラソルが揺れていく

「粋」という言葉は知らなくて

「かっこいいなあ」と見送った あの夏

 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2015年5月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

ジューン・ブライド

白い花と白いキャンドルも

2017617232455.png

英国の六月 薔薇が香る美しいとき

六月の花嫁は 幸せになると言われます

結婚の女神 ジュノーに守られるからです

ふたりのために

家庭的なクロカンブッシュを作りましょう

フランス菓子 シュー・ア・ラ・クレームのシューを

飴で固め 円錐形に高く重ねあげます

シューはフランス語で キャベツのこと

子孫繁栄の象徴です

このクロカンブッシュを 花嫁と花婿が小槌で打ち

お客さまに配ります

さあ シャンパーニュを開け ふたりに祝福を
 
 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2015年3月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

ベイビー・シャワー

ベイビーシャワー

2017617232334.jpg

出産を控えた友人夫妻を招いて

春の午後 ベイビー・シャワーを開きましょう

アメリカで始まった この合理的な集いでは

赤ちゃん誕生の前に

お祝いのプレゼントを贈ります

ドレス 下着 ソックス ブランケットなどを

大きなバスケットにつめて

淡いブルーやピンクのリボンで結び

未来のパパママを招いたシャワー(お茶会)で

友人たちが手渡します

赤ちゃんの身の回りの品を形どった

ビスケットやテーブルセッティングを忘れずに
 
 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2015年1月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

暮らしを紡ぐ

今様しつらい私流

2017617233045.jpg

いつもと同じように 夜が明ける
しかし 元旦の朝は
何もかもが新しく すがすがしい
思いきり暦をめくる 平成二十七年
幼い頃の思い出が重なる お正月の祝い
台所の湯気 おいしそうなにおい
座敷にしつらえられた 祝の膳
おせちが盛られた重箱には「海山」
家族の祝箸の袋には 各自の名前
少し照れくさかった「おめでとう」の挨拶
屠蘇には シャンパーニュを
フルートグラスで 新年の幸を祈る
 
 
 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2014年11月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

菊薫る

a drift of fallen leaves

2017617233326.jpg

小さな 小さな紅葉

いちょうの葉っぱ

白や うす緑の巻きせんべいは

ウェハースのようにサクサクとした歯ごたえ

しょうが味に砂糖をまぶしたものは

けやき落葉がくるまった形でしょうか

愛らしい干菓子の数々は

風で吹き寄せられた

木の葉を型どったもの

秋から初冬にかけての季節感を

鮮やかな漆器に盛り合わせ

日本の繊細な美意識を楽しみます
 
 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2014年9月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

菊薫る

菊薫る

2017617233717.jpg

菊の花に宿った朝露を

一滴一滴 そうっと真綿にとり

集めた露で 酒を造ったのが

加賀の菊酒の始まり との説がある

中国では 菊に被せた真綿で

身体をぬぐうことで 邪気を払い

不老不死を願った

陽の数 九と九が重なる 重陽の節句

平安時代に 中国から日本の宮中に伝わり

雅な菊合せや 和歌の宴に

その後 庶民にも広がったが

今日では あまり知られていない

新涼を待つ気持ちを込めた しつらいを
 
 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2014年7月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

風を纏う

風を纏う

2017617231058.jpg

幼いころ育った祖母の家では
夏になると部屋の仕切りが
簀戸とすだれに替わった
真夏の昼下がりでも たたみはひんやり
庭の緑が すだれ越しにちらちら輝いた
祖母の和服は紗や絽や羅の薄物になり
祖父のお出かけ着はシャリシャリ音がした
「能登上布」と教えてもらった
あれから時は流れ
空色の夏ストールに出会った
たった一軒 伝統を守る織元の能登上布
風を纏って颯爽と歩き出す
 
 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2014年5月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

菖蒲 尚武 勝負

結ぶという行為は魂を生む

201761723413.png

初夏 紫や白の大輪の花を
咲かせる 花菖蒲
日本で栽培改良され
その歴史は 五百年にも及ぶ
端午の節句には
菖蒲の茎葉を菖蒲湯にしたり
子供たちが寝るふとんの下に敷き
まっすぐに成長するようにと祈る
同じ発音の尚武は 武勇を尊ぶこと
この季節に開業する友への祝いは
水引の花菖蒲で飾りたい
「勝負!」の意気を込めて
 
 
 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2013年11月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

サンタへの贈りもの

Very Merry Christmas

20131295457.png

十二月二十四日は忙しい。
家族や友人への贈りものは揃ったかしらん。

二十五日に楽しむクリスマス・ディナーに
ターキーは間に合うでしょうね。

テーブルセッティングは白と赤と緑で。

 

忘れてならないのは、サンタさんへのお礼。

小さなテーブルに、クッキーと紅茶と手紙。

「サンタさん、贈りもの有難う。ひと休みしてね」

二十五日の朝、手紙は消え、
クッキーはかじられ、紅茶も減っている。

子供たちに気付かれず、クリスマスを迎えるのは
けっこう、大変なのです。

 

 

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

ゆきのまち通信(2013年9月号)

センスアップ ゆきぐに暮らし 金澤

早川由紀 文・写真 (ライフコーディネーター)

花詞「恋の吐息」

見果てぬ夢、蒼き薔薇

見果てぬ夢、蒼き薔薇

世界には五千種を超える薔薇があり、
毎年さらに新しい品種が生れています。

育種家の、気の遠くなるような努力を経て。

ふしぎなことに育種家には
独身男性が多く、とても長寿なのです。

薔薇に付けられる名前は、
ロイヤルファミリー、スターたち、
神話、聖書、文学作品の登場人物・・・。

魅力に満ちています。

シーボルトが英国に持ち込んだハマナスから
さまざまなイングリッシュ・ローズが誕生。

薔薇に秘められた物語を繙く、秋です。

月刊(奇数月1日発行)「ゆきのまち通信」企画集団ぷりずむ

PAGETOP