平成元年生まれの若きチーズ職人が里山で造る『養沢ヤギチーズ』
みなさま、こんにちは。
新緑の若葉が徐々に開いて輝いています。
小学校の6年間、卯辰山の竹林へ、タケノコ掘り遠足に出かけた思い出があります。
学年を越えて交流する活動「縦割り学級」といって、一年生は六年生と、二年生は四年生と、三年生は五年生と手をつないで歩き、タケノコを掘るのも手伝いあいました。
旬のタケノコを持って帰ると、祖母が分厚い皮をむいて、お米のとぎ汁を使って茹で、あく抜きをしました。
そうして下処理をしたタケノコは、筍ご飯や煮物にしてくれました。筍ご飯には、細かく切った筍と薄揚げ、彩りに人参が入っていました。
幼いころは薄揚げの食感が苦手でしたが、成長するとともに薄揚げの風味を楽しむようになりました。
祖母のつくる筍ご飯は、ふんわりした薄揚げに浸み込んだ出汁の味と、シャキシャキした筍の風味、優しい醤油味のご飯が絶妙でした。
旬といえば、チーズにも旬があることをご存じでしょうか。
初夏の風が心地よい今頃は、羊乳や山羊乳でつくるチーズが旬です!
フランス語で山羊乳チーズは「Chèvre(シェーヴル)」、羊乳チーズは「Brebis(ブルビ)」といい、健康と美容に良いといわれています。
山羊乳の脂肪球は牛乳の約1/6と小さく、消化吸収が良いのです。
含まれているタンパク質は牛乳よりもアレルギーを起こしにくいといわれます。
成分は母乳に近く、赤ちゃんや牛乳が苦手な方、消化器が弱い方におすすめです。
疲労回復、高血圧の予防、肝機能の強化などに効果があるタウリン。
視力や、免疫機能、皮膚や粘膜の健康に役立つビタミンA。
成長、免疫機能、味覚、DNA合成などに不可欠なミネラルの亜鉛。
腸内環境を整え、善玉菌を増やし、便秘の改善に役立つオリゴ糖。
といった栄養素が豊富に含まれています。
フランスには「山羊乳で始まり、山羊乳で終わる(Acheter le chevre et finir le chevre)」という言葉があり、山羊乳製品、特にシェーヴルが日々の食生活において重要な位置を占めることを表現しています。
ちなみに羊乳は山羊乳よりも脂肪分が多く、濃厚な味わいで、たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素が豊富です。
さっぱり味の山羊乳チーズを楽しんだり、リッチな味わいの羊乳チーズを味わったりして、健やかに初夏を迎えましょう。
今日ご紹介するチーズは、国産のシェーヴルチーズです。
平成元年生まれの若きチーズ職人、堀 周(ほり いたる)さんが造っている「養沢ヤギチーズ」です。
「東京最後の秘境」と言われる、東京都あきる野市養沢地区にある養沢ヤギ牧場で製造されています。
堀さんは、新たに「畜産経営」を自ら始めた東京初の人として注目されています。
「生涯ずっと働き続けられる、生活に密着した仕事をしたい」という夢を持っていた堀さん。
東京理科大学を卒業後、会社勤めをしますが、その間も夢が揺らがないことを確信します。
3年後に会社を辞めて、チーズ工房と牧場で数年間修行。2020年に故郷のあきる野市養沢にヤギ牧場を開業しました。
母ヤギ12頭、仔ヤギ25頭を飼育しながら、一日二回ミルクを搾り、ほぼ一人で製造しています。
「養沢ヤギチーズ」は、2022年にはジャパンチーズアワード銅賞。
2024年6月には第一回アルティザンチーズアワードシェーブルソフト部門銀賞。
冷やした緑茶やアイスハーブティー、微発泡の日本酒や、軽やかな白ワインとの相性もおすすめです。
はちみつやドライフルーツと共に楽しむと、風味と彩りのアレンジが広がります。
月末に旬のチーズと季節のしつらいを学ぶレッスンをしています。
美味しく、美しく、チーズをアレンジし、食を通じて北陸・金沢の暮らしのしつらい、テーブルコーディネートを実践しています。
現在、奇数月の第4土曜日15:30~17:30のレッスンの受講生を募集しています。
詳しくはこちらの北國新聞文化センターWebサイトよりお問い合わせください。
https://hokkoku.bunkacenter.or.jp/kz_detail.php?ko_no=13223
【アーカイブ(MRO北陸放送ラジオ「(谷川恵一 そろそろ。(旧モリラジ!)」出演)】