MRO北陸放送
月のように丸い修道院のチーズ『アベイ ド タミエ ABBAYE DE TAMIE』
2024年5月25日(土)
みなさま、こんにちは。
初夏の陽の光に緑が輝き、花々が美しい季節になりました。
さまざまな花が咲き乱れる5月の満月は「Flower Moon(フラワームーン)」と呼ばれます。
一昨日はお天気が良く、23時頃には、まん丸の輝くお月様を仰ぐことができました。
月の満ち欠けの周期は約29.5日ですから、次の満月は6月22日の22時頃です。
6月は「ストロベリームーン」や「ローズムーン:Rose Moon(薔薇月)」などの名前がついています。
この名前は、アメリカの先住民が、農業や漁業、狩猟の目安として季節を把握するために、各月に見られる満月に名前をつけたことが始まりです。そして、その満月を含む1か月の呼称としても用いられています。
5月14日から5月26日まで開催している「第七回 季にあひたる 和のしつらい洋のしつらい」作品展の会場、石川国際交流サロンでは、生命力に満ち溢れ、活き活きとした輝きを放つ草花がご来場の皆さまをお迎えしています。
2週間の作品展も、今日と明日の2日間となりました。
テーマの「光る」から、光を放つガラスや艶のある漆器を中心に、食卓に石川の工芸をとりいれた「しつらい=テーブルコーディネート」の作品を8つ展示しています。
日本の平安時代(西暦794年 – 1185年)、宮中女性の装束に見られる「かさねの色」をテーブルクロスやティータイムのランチョンマットに表現しています。
夏の「水色のかさね」。
光源氏が愛した3人の女性「桐壺のかさね」「藤壺のかさね」「若紫のかさね」
をお楽しみいただけます。
風と光に揺れる「藤の花」のフラワーアレンジメントは、平和と高潔を表しています。
藤の花が風に揺れている様子を「藤波(ふじなみ)」と表現します。一陣の風に吹かれたひと房が、波のように次から次へと揺れていく様子を思い浮かべながら、お庭や、床の間の掛軸(かけじく)と調和した、しつらいをしています。
入場無料です。ぜひ、お立ち寄りいただけましたら幸いです。
さて、本日ご紹介するチーズは、お月様のようにまん丸の形をした、修道院のチーズ『アベイ ド タミエ ABBAYE DE TAMIE』です。
フランスの東端、スイス・イタリアと国境を接するサヴォワ地方産のウォッシュタイプのチーズです。サヴォワ地方は、古くからチーズの名産地として知られています。標高900メートルのボージュ山塊にひっそり佇むのは1132年より続くタミエ修道院。今もなお、修道士達が人々の幸せや世界平和を祈り、手仕事をしています。その一つがチーズです。
ウォッシュタイプのチーズは、表面を洗って熟成させているので、外皮から穏やかな風味を感じます。教会の回廊のように神聖な雰囲気のカーヴにあるエピセアの木板の上で熟成された中身は、なめらかでモチモチしており、ほのかにナッツの風味が感じられます。
ヨーロッパを旅した際、朝食ブッフェに、このチーズが丸ごと提供されていました。
涼を感じたいこの季節。水出しの加賀棒茶や、冷酒と合わせて楽しめます。お料理にも使える万能チーズです。
「月はグリーンチーズでできている(英: The Moon is made of green cheese)」という欧米のことわざや、月の反射を見て「丸いチーズと間違えた」という物語があります。
お月様のひとかけをシェアしているような気持ちで、丸いチーズをカットし、家族や友人でシェアしましょう。満ち欠けを繰り返すお月様のパワーに願いを込めて。穏やかで健やかな世の中を祈ります。
月末に旬のチーズと季節のしつらいを学ぶレッスンをしています。
美味しく、美しく、チーズをアレンジし、食を通じて北陸・金沢の暮らしのしつらい、テーブルコーディネートを実践しています。
【音声ファイル】2024年5月放送.mp3
【アーカイブ(MRO北陸放送ラジオ「(谷川恵一 そろそろ。(旧モリラジ!)」出演)】