皆さまこんにちは。
金沢の秋の空は高く澄み渡り、心が引き締まるようです。
私がこの時期心惹かれるのは、「りんどう」の花。
野山や街の花屋の店先で、スッと背筋を伸ばして咲く、鮮やかな青紫色の姿。

漢字では「竜(りゅう)の胆(きも)」と書きます。根っこが熊の胆よりもさらに苦く、「伝説の竜の胆のようだ」と言われた、中国の古い伝承が由来です。
漢方薬としても重宝されてきた力強い植物ですが、その花はどこか高貴で、凛とした美しさを湛(たた)えています。
実は、りんどうには「勝利」という素晴らしい花言葉があります。病に打ち克つ優れた薬効や、一本ずつ自立して咲く凛とした姿が、自らに打ち克つ「勝利」を思わせることからつけられました。
未来を力強く切り開いていくような、元気を貰える花言葉です。
さて、今日ご紹介するチーズは、その名も『日本酒りんどう』です。
つくっているのは、栃木県那須高原の「今牧場チーズ工房」。
人気の定番ウォッシュチーズ「りんどう」を、さらに特別な和の味わいへと磨き上げた一品です。

チーズを洗い磨くウォッシングの工程で使われているのは、栃木県日光市の老舗酒蔵「渡邊佐平(わたなべさへい)商店」が醸す『尊徳(そんとく)』です。
二宮尊徳(二宮金次郎)にちなんで名付けられた日本酒で、約100年ぶりに復活させた伝統製法「生酛(きもと)造り」で知られています。
蔵人がこだわり抜いて醸したこの地酒を贅沢に使い、表面を優しく洗い磨きながら、およそ40日間じっくりと熟成させていきます。
パッケージを開けた瞬間に立ち上る香りが、実に見事。
ウォッシュチーズ特有のクセはなく、地酒『尊徳』がもたらすふくよかなお米の甘い香りと、まるで上質な酒粕を思わせるような、どこか懐かしく優しい
和の薫りです。
中身はむっちり、ねっとりクリーミー。ひと口含むと、新鮮なミルクのコクと日本酒の極上の「旨味」が、じわーっと舌の上で溶け合います。

西洋の伝統技術であるチーズと、日本の伝統文化である日本酒が手を取り合う、「和魂洋才」の精神をぎゅっと詰め込んだ味わいです。
金沢の冷え込む秋の夜長に、あたたかいお部屋を少し暗くして。
目で愛でるりんどうの花を傍らに、お気に入りの地酒をゆっくり嗜(たしな)みながら、この『日本酒りんどう』のチーズをほんのひと口、贅沢につまむ……。
これ以上ない、大人の豊かな秋の過ごし方です。
目で秋の野辺を感じ、舌で日本酒香る濃厚なチーズを味わう。


五感をフルに使って、今しか出会えない季節の移り変わりを皆さんもぜひ愉しんでみてください。

金沢・広坂では、季節のしつらいを楽しみながら旬のチーズを学ぶ教室を開催しています。月末の午後クラスや隔月クラス、オンラインレッスンも
ございます。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
10月27日〜11月8日、金沢・広坂の石川国際交流サロンにて「第9回 季(とき)にあひたる 和のしつらい 洋のしつらい作品展」を開催します。
10時から18時まで、入場無料。月曜日は休館です。
今回のテーマは「彩(いろどり)」。
和と洋、伝統工芸と現代の用美を組み合わせ、季節を楽しむ暮らしをテーブルコーディネートを通してご提案します。

それでは皆さま、どうぞ彩りの秋を健やかにお過ごしください。


