季にあひたる ~MRO北陸放送~

涼風を招く『プティ ブリ ポワブル(PETIT BRIE POIVRE)』

みなさま、こんにちは。

残暑が続いています。

広坂の辰巳用水ではいくつもの「風鈴」が涼しげな音色を競っています。

風がそよぐたび、「ちりん ちりちり」。

涼しさだけでなく、どこか懐かしいです。

風鈴のはじまりは、古代中国にまでさかのぼります。

当時は「風鐸(ふうたく)」と呼ばれ、寺院の軒先に吊るされていました。

風が吹いて鳴るその音は、魔除けや厄除けの意味を持ち、音によって吉凶(きっきょう)を占う道具でもあったそうです。

それが日本に伝わり、やがて江戸時代になると、庶民の暮らしの中で「涼を呼ぶ道具」として親しまれるようになりました。

風鈴は、風をかたちにし、音に変える。

そんな、目に見えないものを感じる日本人の感性が、宿っているのかもしれません。

金沢にも、風鈴の美しい文化があります。

九谷焼や金箔をあしらった風鈴、水引で包まれたガラスの風鈴、

能登硝子に能登上布の短冊を添えたもの、そして、加賀錫の風鈴など。

素材も音も、ひとつひとつに物語があります。

風鈴の音に耳を澄ますと、ある味が思い浮かびます。

それが、今日ご紹介する「プティ ブリ ポワブル(PETIT BRIE POIVRE)」です。

白カビタイプのブリーチーズの表皮に黒胡椒の粒がまぶされている、食べやすい味わいのフランス産チーズです。

バターのように滑らかでクリーミーな生地に、ピリッとした胡椒をアクセントに、舌上で溶けていきます。

まるで風鈴の音のように、余韻が長く、静かに口中にスパイスが響きます。

「スパイスのあるチーズは、風を招くよ」と、パリのチーズ職人が言っていました。風鈴の音が、聴覚の涼をもたらし、

チーズの胡椒が、味覚の刺激を与える。

どちらも、繊細で、余韻を楽しめます。

五感で季節を味わう、静かなアートなのかもしれません。

風鈴の音に耳を傾け、

「プティ ブリ ポワブル」をひと口、味わってみてください。

きっと、物語が聞こえてきます。

さて、毎月末には「旬のチーズと季節のしつらい」を学ぶレッスンを開催しています。

奇数月の土曜午後クラスも新設されましたので、2か月に1度、チーズと暮らしの

美しさを学んでいただけます。体験レッスンもございます。

チーズのある食卓を、ぜひ楽しんください。

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旬のチーズ:コーディネート講座(講師:早川由紀)

オンラインレッスンもあります。ぜひお気軽にお問い合わせください。

また、9月7日には「ニコニコチーズパーティーin金沢」を武蔵が辻のMinn金沢にて開催します。2000年にチーズプロフェッショナル協会が発足して今年で25年。

「それを記念して、選りすぐりのチーズ25種類を味わいましょう!」

25周年に25種類のチーズ。「2525=(ニコニコ)」です。

国産チーズについて、またチーズのカット方法や盛り付けについてのミニレクチャーも行います。

お申込と詳細は、チーズプロフェッショナル協会のWebサイトからご確認いただけます。

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レッスンやイベントに関するお問い合わせはコチラより。

【アーカイブ(MRO北陸放送ラジオ「(谷川恵一 そろそろ。(旧モリラジ!)」出演)】

早川由紀 金沢市出身。「和魂洋才」を掲げ「WAKONN」を設立。移ろいゆく季節、鮮やかに姿を変える風景を楽しみ、折々の行事を心を込めてこなしていた祖母の暮らしを受け継ぎ、しつらいの魅力を伝えるイベントやセミナーを積極的に展開。

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