皆様、こんにちは。4月末から5月、金沢の街は新緑がまぶしく、木々の緑がさらに深まる「万緑(ばんりょく)」へと向かう、一年で最も鮮やかな季節を迎えています。
日中は20度を超え、お日様の下では半袖が心地よいほど。「初夏」のような陽気ですが、油断は禁物ですね。夕暮れと共に気温は15度を下回り、雨が降ればぐっと冷え込む。この大きな寒暖差がこの時期の特徴です。

私の祖母は、いつもスカーフのような「首に巻くもの」を持ち歩いていました。暑さ寒さを鮮やかに調節する、そんな祖母の知恵を思い出しながら、私も一枚、羽織るものを持って出かけるようにしています。ゴールデンウィークにお出かけの皆様も、どうぞご自愛くださいね。

この時期になると、祖母と山菜取りに行った日のことを思い出します。
道端の草花の中から、食べられるものを瞬時に見抜く祖母の「目利き」は本当にすごかった。私にはどれも同じ草に見えて(笑)、天ぷらやお浸し、たけのこご飯など、祖母の手で山菜が旬の味覚に変わるのが魔法のようでした。
特に思い出深いのは、学校から帰った時の光景です。器にひたされた金時草(きんじそう)の鮮やかな「紫色の出汁」。あの独特の色と香りに触れるたび、子供心に金沢の春を実感したものです。
そんな伝統的な和の食卓に、現代の風を吹き込んでくれるのが「チーズ」です。
今の季節はフレッシュチーズが旬です。
柑橘類やベリー類、フレッシュフルーツと合わせるデザート系のフレッシュチーズがおすすめで、初夏の爽快感を楽しめます。
フレッシュチーズの代表格といえば、やはり「クリームチーズ」ですよね。
最近は、フルーツやナッツを練り込んだ、まるでスイーツのような「デザートチーズ」がとても流行っています。
加賀料理は本来、上品な甘みや素材のコクを大切にする文化があります。このデザートチーズの濃厚な風味は、実は地元の食材と驚くほど相性がいいのです。今日はいくつか、ご家庭で楽しめるアレンジをご紹介します。
• 金沢春菊とチーズの白和え風
さっと茹でた金沢春菊を、バニラや果実系のデザートチーズ、少量の醤油とめんつゆで和えるんです。春菊のほろ苦さがチーズの甘みで包み込まれて、とても洗練されたおつまみになります。
• 五郎島金時のチーズスイートポテト
ホクホクした五郎島金時をマッシュして、ラムレーズンやバニラ風味のデザートチーズを混ぜて焼き上げます。これだけで、本格的な和スイーツの完成です。
• 能登塩を使ったチーズディップ
デザートチーズを軽く練り、そこに「能登の塩」をパラリと少し加えるだけ。甘みと塩気が引き立ち、野菜スティックやクラッカーが止まらなくなる、上品なディップになります。
デザートチーズ(特にラムレーズンやナッツ系)は、芳醇な日本酒やワインとも非常に相性が良いので、お酒好きの方にもぜひ試していただきたいです。
先日、こうした私の想いを一冊の本にまとめさせていただきました。『季(とき)にあひたる和魂洋才のしつらいと工芸 加賀料理とチーズのある暮らし』という本なのですが、その中でも、金時草とフレッシュチーズのアレンジをご紹介しています。あの伝統的な紫色の金時草に、真っ白なフレッシュチーズを合わせる。これこそ、私が大切にしている「和魂洋才」のしつらいです。

お気に入りの九谷焼や、涼やかなガラスの器に、デザートのように美しくチーズを盛り付ける。そんなひと時が、寒暖差で少し疲れた心と体を癒やしてくれます。
祖母が枚のストール一で季節を慈しんだように、私たちも、旬の食材とチーズを楽しみながら、この美しい季節を健やかに過ごしましょう。





こうした季節のしつらいや、旬のチーズの楽しみ方を体験していただける講座を、毎月月末に開催しています。
「旬のチーズとコーディネート講座」
場所は、金沢市広坂の教室にて。

新設クラスやオンライン講座もございますので、ぜひご一緒に学んでみませんか。


