葡萄のつぶやき ~ワイン村インタヴュー~

第2回 宇佐美恵子さん

ファッション界でトップモデルとして活躍後、その経験を生かし、ファッションコーディネーターに転身。テレビ、司会、雑誌、エッセイの執筆など多方面でご活躍中の宇佐美恵子さん。彼女の凛としたたたずまいは、女性の憧れでもあります。
宇佐美さんの趣味は“ワイン”とのこと。そのワインとの出逢いや、お好きなシャンパーニュ、そして美容についてお話を伺いました。

第2回01

フランス映画が盛んだった青春時代、そのフランス映画に登場するワインやシャンパーニュに興味を抱き、ファッションのメッカ、フランスへの憧れと同時に、フランス文化の魅力にも惹かれるようになったそうです。
まだ日本に限られたワインしか輸入されず、いいワインが少なかった頃、学生同士でスキーに行くとき、みんながビールや日本酒を持参する中で、宇佐美さんはワインを持って行きました。「国産の一升瓶に入ったワインで、フランスワインほど美味しく感じませんでしたが、私自身がちょっと背伸びをしたかったのかもしれません」。
その後パリで、本場のフランスワインを飲んだとき、学生時代のあの一升瓶とは違うその味わいに、「本当に美味しい!」と大感激し、それからワインの世界にはまっていくようになったそうです。
モデルの仕事をするようになると、CHANELやFENDIのショーでは、楽屋にはいつもシャンパーニュが用意してあり、「デザイナーやモデル仲間みんなが愉快になってショーを盛り上げる・・・。なんてステキなのかしら!」と思ったそうです。

第2回02

2004年に“ソムリエ・ドヌール”に就任した宇佐美さんは、服部幸應さん、山本益博さん、麹谷宏さんと、シャンパーニュ愛好家の集まり『こうもりの会』を結成し、年に一度シャンパーニュパーティーを主催しています。オペラ好きの山本さんが、ヨハン・シュトラウス二世のオペレッタ『こうもり』の、「こんなことになったのも、あんなことになったのも、全てはあの魅惑的なシャンパンの泡のせい」という場面から、『こうもりの会』と名づけました。
『こうもりの会』の発足のきっかけは、山本益博さんの「色々なシャンパーニュを飲み比べてこそ、初めて何が美味しいか言えるのでは?」という一言から始まりました。
レストランでシャンパーニュを頂こうとすると、2人で1種類のシャンパーニュを頂くのがせいぜいですが、7~8人だと3種類ぐらいのシャンパーニュを頂くことができます。発足当時、ワインのテイスティング会はありましたが、シャンパーニュだけのテイスティングの会はありませんでした。1~2ヶ月に一度、レストランにシャンパーニュを持ち込ませていただき、数種類のシャンパーニュを友人たちで分かち合い、イニシャルAの“アヤラ“からVの“ヴーヴ・クリコ”まで、アルファベット順に2年半ぐらいかけてシャンパーニュを頂いていきました。
毎回色々な方が参加するので、その会に参加された方はどんどん増えていき、一同一緒にシャンパーニュを頂く喜びを分かち合いたいと発足した『こうもりの会』は、最初は60~70人の会でしたが、だんだん大きな会となり、最近では200名を超える人たちが集まる会となりました。

第2回03

また「2人でシャンパーニュを1本いただいてしまうと、その後の白や赤ワインが美味しく味わえなくなってしまうから」と、『グラスシャンパーニュを一杯飲みたい』運動も続けてこられた宇佐美さん。以前はレストランでフルボトルでしか頼めなかったシャンパーニュも、今では随分とグラスで楽しめるお店が増えました。
そんな宇佐美さんは「お食事を1本のシャンパーニュで通すのもステキよ」と、レストランでのオーダーの仕方を提案されます。「日本はレストランでワインをいただくと結構よいお値段でしょう!だからシャンパーニュを頼むの。シャンパーニュは特別高級なものでない限り、ノン・ヴィンテージのものは手ごろなお値段ですから・・・。食事に招待された時も、シャンパーニュは席を華やかにしてくれるし、相手の負担をあまり気にすることなく選べますし」。なるほど・・・。 
最近の宇佐美さんのお気に入りのシャンパーニュは、ドン・リュイナール社の“ブラン・ド・ブラン”(シャルドネ種だけでつくられたもの)。初めて出会ったときの衝撃は大変印象的で、高級な“クリュッグ”や“クリスタル”などは美味しいのはあたり前として、リーズナブルな値段でも明らかに他のシャンパーニュとは違う、その深い味わいに魅了されたのだそうです。

第2回04

宇佐美さんの美しさの秘訣について訊ねてみました。
「ワインが大好きだから、飲むことで内側から、そして外側はお化粧品で葡萄の恵みにあやかろうと思って」と言う宇佐美さんがお使いの化粧品は、葡萄の持つ成分であるポリフェノールに着目して作られた『CAUDALIE(コーダリー)』といい、ボルドーの由緒あるワイナリーが所有する葡萄畑から生まれたスキンケア製品です。葡萄の種や梗の中に含まれるポリフェノールは、ビタミンCやEをしのぐほど高い天然の抗酸化成分としても知られ、肌の老化を抑制し、健康的な状態に保つ働きがあります。ボルドーやパリのホテルにもこの葡萄の成分から作られた化粧品を使ったスパがあり、大変な人気を博しているそうです。
さらに宇佐美さんは、女性の悩みの種であるお肌のシミにも、「太陽は葡萄の果実が育つには必要だけど、紫外線というのは葡萄にも良くないのよね。葡萄の皮に一番多いポリフェノールは、その紫外線から葡萄を守るためにあるので、それをワインとして飲んでいるから、シミが出来にくいのよ。ほら、アウトドアが好きな割には、シミが少ないでしょう?」と腕を見せてくださいました。
ワインを飲む人は、自然と綺麗になるそうです。「恋をするとキレイになるというでしょう?美しいものを見たり、美味しいお料理やワインをいただいたりすると、快楽ホルモンが分泌されるのだけど、これは恋をしている時に分泌されるホルモンと同じなの。また、ワインをいただくとき、普段以上に嗅覚や味覚を使うでしょう?この感覚を研ぎ澄ますことは、体にとてもよいことなの」。
「ワインがお好きな方は、ワインを飲むとき、薄めたくないのでお水をあまり飲みたくない、とよくおっしゃいますね。でも私は、お水を飲みながらワインをいただくようにしています。翌朝スッキリとした顔で目覚めるよう、就寝前にもお水を飲みます」と、宇佐美さん。お水を飲みながらワインを飲むと、翌朝のお肌の調子が全然違うのだそうです。

第2回05

年を重ねるのはワインも人生も同じす。どのように時の流れと向き合うかで、10年、20年、30年後のワインの味わいや人間性は変わってきます。
宇佐美さんの『颯爽とした美しさ』は、内面からも外面からもあふれ出ていました。それは彼女が、仕事にもプライベートにもいつもまっすぐに向き合い、ワインとも宇佐美流で付き合ってこられたから・・・。
『いつまでも、若く、美しく』(深い憧れを感じつつ…)このようなスタイリッシュな人生を私たちも過ごしたいですね。

プロフィール

宇佐美 恵子(うさみ けいこ)

【 経 歴 】
1974年
大学在学中にモデルにスカウトされ、資生堂の春のポスターでデビュー。
以後、トップモデルとして、シャネル、フェンディー、イッセイ ミヤケなどショーに出演。
1976年
自動車メーカー・マツダの専属CMモデルになり、その日本人離れしたキャラクターが話題となる。
1977年
『季節風』 (斎藤耕一 監督)で映画デビュー。
1987年
ファッションコーディネーターとして活躍する。自ら、ヨーロッパ各地で買い付けた洋服、
アクセサリーを「USAMI COLLECTION」として紹介。
1993年
重度障害者の施設作りのため、成田市でリサイクル商品を使ったファッションショーを企画、運営。
1996年
服部幸應氏、山本益博氏、麹谷宏氏らと『こうもりの会』を結成。シャンパーニュパーティー(一回目)を主催。
1998年
日本の高齢化が進む中、“いつまでも、若く。美しく。”をテーマに講演活動を開始。
1999年
8月、文春ネスコより『トップモデル物語』~マイナス10歳の「キレイ」を作るレシピ~を出版。
12月、三笠書房より『トップモデルが明かす“いい女”になる33のヒント』を出版。
2000年
上記著書『“いい女”になる33の~』が好評、増版8刷中。
10月よりNHK文化センターでセミナー開講中。
2001年
三笠書房より“いい女”シリーズ2作目、
『トップモデルが語る“いい女”になる毎日のヒント~“いい女”のおしゃれの26の秘密』を出版。
その他、講演・セミナー多数。
2002年8月
『美しく自分を磨く!大人の女66のルール』を出版。
2003年6月
『トップモデルが明かす、体が生まれ変わるキレイ生活』-1日24時間自分を磨く本-を出版。
2004年2月
“ソムリエ・ドヌール”に就任

【 著 書 】
1999年8月
文春ネスコ 『“トップモデル物語” ~マイナス10歳の「キレイ」をつくるレシピ 』
1999年12月
三笠書房 『トップモデルが明かす「いい女」になる33のヒント 』
2001年4月
三笠書房 『「キレイ」になる毎日のヒント いい女のおしゃれ、26の秘密』
2002年8月
大和書房 『美しく自分を磨く!大人の女66のルール』
2003年6月
三笠書房 『トップモデルが明かす。体が生まれ変わるキレイ生活-1日24時間自分を磨く本 』
2005年1月
青春出版出版予定 『トップモデルが教える「女が惚れる女」のルール』

 

早川由紀 金沢市出身。「和魂洋才」を掲げ「WAKONN」を設立。移ろいゆく季節、鮮やかに姿を変える風景を楽しみ、折々の行事を心を込めてこなしていた祖母の暮らしを受け継ぎ、しつらいの魅力を伝えるイベントやセミナーを積極的に展開。