みなさま、こんにちは。1月も最終週になりました。
ここ数日、JPCZ(Japan-sea Polar airmass Convergence Zone=日本海寒帯気団収束帯)の影響による大雪の警報が発令され、金沢の街はすっかり雪景色になりましたね。雪かきでお疲れの方、足元に不安を感じている方も多いかと思います。

今日は、そんな雪の静寂の中で、ほんの少し先の「春」を感じるお話を届けてまいります。
2月のならわし:金沢の「節分」と「おばけ」
カレンダーをめくれば、もう2月。節分は文字通り「季節を分ける」時です。旧暦では立春で年が変わるため、今の大晦日にあたります。
この時期、ひがし茶屋街の宇多須(うたす)神社では、芸妓衆による華やかな豆まきが行われますが、金沢にはもう一つ、粋な文化があるのをご存じですか?それが「おばけ」です。
節分は邪気が入り込みやすい日。そこで「別人に化けて鬼をやり過ごす」、あるいは「もっと奇妙なもの、ひげを蓄えた奴さんや、おばけになって鬼を驚かせる」という厄除けの儀式が「おばけ」の始まりです。
普段、加賀友禅を凛と着こなす芸妓さんたちが、あえて崩した格好で登場する。そのギャップこそが、金沢らしい「粋」な遊び心と大人の余裕なんですね。
ご家庭では、豆まきをしたり、鬼をかたどった落雁を飾ったり。中旬には神明宮の「あぶりもち神事」で無病息災を願う。そんな食のしつらいが、金沢の冬の終わりを彩ります。
午(うま)年のしつらい
2026年は「午(うま)」年です。馬は「駆け上がる」運気上昇のシンボル。デパートや茶屋街には、金箔をあしらった馬の置物や加賀蒔絵のお箸など、華やかな縁起物が並びます。

今月のチーズ:新利根チーズ工房「勝馬蹄(かちばてい)」
そんな午年の春を迎えるのに最高のチーズをご紹介しましょう。茨城県稲敷市「新利根チーズ工房」の『勝馬蹄(かちばてい)』です。
昨年11月に、真っ白な白カビチーズ『白霞(しらがすみ)』をご紹介しましたが、この『勝馬蹄』は同じ生地を使い、幸せを運ぶと言われる馬のひづめ「蹄鉄(ていてつ)」の形に整え、周りに竹炭をまぶして熟成させたものなんです。

味わいと、勝馬神社の物語
竹炭をまとった真っ黒な姿をカットすると、中からは驚くほどきめ細かく、真っ白な生地が現れます。
金沢では2月や12月に行われる「針供養」のお豆腐のように、清らかで美しい白さです。
味わいは『白霞』よりも塩味がキリリと効いていて、食感は「むっちり」。口に含むと体温で滑らかに溶けていき、竹炭の香ばしさとミルクの豊かなコクが広がります。
この『勝馬蹄』という名前は、工房のある稲敷市の大杉神社の境内にある「勝馬(かちうま)神社」にあやかって命名されました。馬の守護神であり、勝負事に勝ちたいと願う方が全国から訪れる場所です。節分で邪気を払い、この『勝馬蹄』をいただく……まさに2026年の運気をグッと掴み取る、縁起物のチーズなのです。

ペアリング
お召し上がりの際は、ぜひ地元の日本酒を合わせてみてください。
金沢の旨口のお酒をぬる燗にすると、チーズの塩味がふわっと際立ち、まさに格別です。フルーティな赤ワインとも相性抜群です。
お酒が苦手な方には、濃い目に淹れた緑茶がおすすめです。クリーミーなチーズと緑茶の「うま味」。その見事な相乗効果をお楽しみいただけます。


大雪を乗り越えた先には、必ず輝かしい春がやってきます。2026年、午年。皆さまのもとに、馬が駆け抜けるような勢いのある幸せが訪れますように。
残った雪や路面の凍結、どうぞ最後までお気をつけて、お過ごしください。
インフォメーション
こうしたチーズの奥深い世界や季節のしつらいを学ぶレッスンを、毎月末に開催しております。「奇数月の土曜午後クラス」も新設いたしました。季節の食卓を彩る知恵を、一緒に学んでみませんか?
また、昨年好評だった、フランスチーズシュヴァリエ・米田シェフによる「チーズフィンガーフード教室」を、今年2月11日(水・祝)に再び開催いたします。
会場は金沢駅から徒歩5分の「ぶどうの森 タパス エ バール」。美味しいフィンガーフードとワインを楽しみながら、ご一緒に学びましょう。
チーズプロフェッショナル協会Webサイト
https://www.cheese-professional.com/article/column/detail.php?KIJI_ID=2373
よりお申込みいただけます。

皆さま、良い立春をお迎えください。


